Keukenhof
- Shiori tanaka
- 6月11日
- 読了時間: 4分
イギリスと合わせて、花の季節に行きたい場所があった。イギリスとはまた違った花の文化。球根栽培が盛んな、オランダのチューリップを見たい。チューリップに会いに、オランダに訪れた。訪問の目的は、オランダ南部・リッセ(Lisse)という街にあるチューリップ世界最大級の花の公園 "キューケンホフ公園 "。毎年3月下旬~5月頃の3ヶ月しか開園していない夢の公園。敷地面積は、約32ヘクタール(東京ドーム約6個分)。たくさんの種類のチューリップがたくさん咲いていて、見たことがない品種のチューリップに大興奮。



湿度の少ない春、豊富な地下水、排水性の良い砂地の土地など、オランダの自然環境がチューリップの栽培に適しているそうだ。気候と土地が、チューリップを可憐に生み出していた。チューリップだけではなく、さまざまな球根と寄せ植えされた姿、色の組み合わせ、グラデーション、ほんとうに素敵だった。




チューリップのことをより深く知りたいと思い、キューケンホフから歩いて20分ほどにあるチューリップミュージアムへも足を運んできた。
Museum White Tulip Nationaal Museum De Zwarte Tulp
Grachtweg 2a, 2161 BG Lisse, オランダ


チューリップは、16世紀にトルコから導入され、もともと中央アジア原産で、オスマン帝国(現・トルコ)を経て16世紀にオランダに伝わった。世界初の投機バブルとも言われる「チューリップバブル」により、オランダ国内でチューリップが一大ブームに。珍しい品種には家一軒分の値がついたことも。





花の文化は、その国の歴史や雰囲気が垣間見れて、その国のことを知る情報源として、とてもいい。花のことを知り、興味を持ち、その国の雰囲気を知る。そして、その国へまた訪れたくなる。ヨーロッパが日本よりも花が身近な理由は、遠い古い歴史から根付いている「文化」だ。生まれた時から、当たり前の文化として、花に触れ、野菜を食べるように、花を飾る。そんな「文化」が、生まれた場所にあることが、私はとっても羨ましかった。もっと、暮らしの中に花が身近でありたいし、花に触れたい。文化はなくても、自分の中で花と向き合う文化を、自分なりに作っていきたい。

チューリップミュージアムでは、一目惚れをしたチューリップの本を買った。英語版とオランダ語版があり、オランダ語版を購入。そこに描かれたチューリップは全て斑入りの柄をしたチューリップだった。チューリップバブルの際に、高値で取引されていたチューリップは、斑入りのチューリップ。珍しい品種として販売された種類のチューリップで、当時「broken tulip / ブロークン・チューリップ」と呼ばれていた。この斑入りのチューリップは、偶然のウィルス感染によって生まれたもので、人為的に作り出されたものではない。花びらの色が不均一に抜けたり、模様のような筋が入り、「ブロークンカラー」と呼ばれたものが、非常に美しいと人気となった。ウィルス感染の理由は、アブラムシや昆虫によって自然に感染され、当時はウィルスという存在自体がまだ知られていなかったため、この模様は「神秘的で貴重な品種」だと考えられていたそうだ。


現在流通している班入りのチューリップは、ウィルスフリーの品種改良による模様付けが主流とのこと。自然が生み出した芸術は、人間の力では生み出せないこともある。その姿に、注目を浴びたオランダの人々も、規格基準外の花を「素晴らしい」と選別する観点や付加価値の捉え方にも、センスを感じた。
オランダは研究機関の質がとても高いことでも有名で、きっとこの研究熱心で、優秀な研究結果があるからこそ、素晴らしいチューリップたちが生まれていったのではないだろうか。研究機関の質の高さは、オランダのハーレムという都市にあるオランダ国内最古の美術館、タイラース美術館へ行き、歴史的なシーンを垣間見て、オランダの研究熱心な心や、情熱を目の当たりにした。オランダはもともと実利を重視する国民性があり、研究も社会課題の解決やビジネス応用に結びつける傾向が強いみたい。国によって、人格も違えば、その人格や性質によって、国の性格がある。
Teylers Museum
Spaarne 16, 2011 CH Haarlem, オランダ



たくさんの国があって、その国の色があるのは、自然環境と人間により生まれていくものなのだと、久しぶりに訪れた海外で感じたこと。私が見たチューリップの記憶。文化、歴史、オランダ人の国民性。チューリップを通して、より知れた興味深いオランダの歴史を、これからも追い続けると思う。
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