Kew garden
- Shiori tanaka
- 7 日前
- 読了時間: 3分
2025年4月。私が、植物をより好きになったきっかけでもあるキューガーデン。憧れの場所へ行ってきた。

キュー王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)は、イギリス・ロンドン南西部リッチモンドに位置する、世界規模と歴史を誇る植物園。ユネスコ世界文化遺産にも登録されている世界最大級の植物研究機関のひとつ。植物は5万種も収蔵されています。ただの植物園ではなく、約100名以上の植物学者や微生物学者、遺伝学者などが在籍して植物多様性、絶滅危惧種の保全、薬用植物の研究などに取り組んでいる場所です。

私の大好きなボタニカルアート(植物画)たちは、ここキューから生まれたといっても過言ではありません。17世紀から現代に至るまでの植物画、植物図譜、科学的スケッチが20万点以上も所蔵されています。精緻で美しいだけではない植物学的に正確な記録として必要とされた植物画。単なる美術ではなく、植物の構造や分類、進化の理解を深める科学資料として活用され、デザインやアートの世界ではない科学者の指示によって忠実に再現して描かなくてはいけないものとして活用されていました。

この場所からたくさんの植物が発見され、植物画にし、今もなお植物の保護活動をしていると思うと、ドキドキワクワク以上の、言葉にはできない胸の高鳴りを感じた…ついにこのパームハウスに足を踏み入れてしまった。鋳鉄とガラスでできた植物を守るための大聖堂。熱帯雨林の植物ヤシ、バナナ、カカオ、コーヒー、超巨大なシダなど、普通イギリスじゃ絶対育たない植物たちが育っていた。中はめちゃくちゃ蒸し暑い。常に高温多湿に保たれていて、ジャングルの中を歩いてるみたい。


憧れの場所に足を踏み入れたとき、一体どんな感情になるのかな…と、朝少し緊張していた。たくさんの種類の植物たちを、目で追い、記憶として頭の隅々にしまっておくのが大変一苦労で、緊張はあっという間にどこかへいってしまっていた。
植物たち以外にも、もう一つ楽しみにしていた場所が、Marianne North Gallery。イギリス人の植物画家・探検家・女性先駆者のマリアン・ノース。自身で世界各国を旅し、描いた絵を全てギャラリーに寄贈し、彼女は1000点以上このギャラリーに収めました。今では、女性が一人で旅をすることは普通のことですが、当時のビクトリア朝時代では、女性が単身で世界を旅し記録することは極めて異例のことだったそうです。
「女性先駆者(female pioneer)」とは、自分の時代において、女性として初めてある分野を切り拓いた人を指します。社会的に女性の活動が制限されていた時代に、勇気と情熱をもって新しい道を進んだ女性たちのこと。女性も旅をし、研究し、芸術や科学で活躍できるというロールモデルを作った素晴らしい勇者。本当に、かっこいいです。「女性だから無理」と言われていたことを、自らの行動で変えた一人です。私も、一人の女性として今こうして何かに打ち込めているのは、紛れもなく先代に続く素晴らしい女性たちが、こうして常識や概念を突破し、社会へ貢献してきたからこそ、生きていけるのだと、尊敬の意を心に秘めて、ギャラリーで、ゆっくり深呼吸をした。


ギャラリーの中は、撮影禁止だったため残念ながら写真はないが、壁一面隙間なく綺麗に並べられた絵画が展示してあり、本当に圧巻でした。言葉が出てこない…。心の奥に、ずっと消えない記憶。今回の旅は、バックパック1つで行ったので、お土産に本を買いすぎて、マリアンノースの分厚い本は残念ながら見送ることにしたが、やっぱり買えばよかった。

ちょうどロンドンも桜が満開の頃。日本でお花見ができなかった分、まさかロンドンでお花見ができると思わなくて、大変嬉しいお花見となった。私の頭の中の記憶として、一番記憶に残った花の旅。この日は憧れの場所に来れた幸せを、ずっと噛み締めていた。記念日。
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